「モンミュゼ沼津 沼津市庄司美術館」で2019年2月23日から3月17日まで開催された「山口源と物体版画の世界展」の現地レポート!

山口源と物体版画の世界展


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現地レポート

「モンミュゼ沼津 沼津市庄司美術館」で2019年2月23日から3月17日まで開催された「山口源と物体版画の世界展」に行ってきましたので、その内容をお伝えします。

「モンミュゼ沼津~」の館内は撮影禁止となっておりますが、許可を得た上で撮影しておりますので、ご了承ください。

山口源(1896-1976)

山口源(げん)氏は富士市出身で、奥様との結婚を機に沼津市江の浦に移り住み、抽象木版画の先駆者として活躍した方です。
流木や葉っぱ、魚の干物など様々な素材の模様を巧みに利用して制作した版画は、海外で高い評価を受け、日本人で初めて国際版画展でグランプリを受賞しました。

生涯で発表した作品は700~800点と言われていますが、そのうちの326点と関連資料約1,000点が「モンミュゼ沼津~」に収蔵されています。

山口源

能役者

この展覧会では山口源の代表作、「能役者」もご覧頂くことが出来ます。
第5回ルガノ国際版画ビエンナーレ展で、日本人で初めてグランプリを受賞した作品です。

このデザイン、沼津市民の方は、どこかで見たことがあるかもしれません。
そう、沼津市民文化センター/小ホールの緞帳にも使われているんです。

能役者

この展覧会では、版画の版木も一緒に展示されています。

右側が版木で、その表面にもしっかりと人間の顔のような模様が見られます。
これをクルッと裏返してみると、左側の版画に、ほらピッタリ!

能役者 版木

そんな鑑賞の仕方を踏まえた上で、問題です。

第1問。
写真右の版画に使われた版木は、どれでしょう?
左の額内に並ぶ木の中から、1つお選びください。

  • 画像はクリックすると、拡大表示されます。
山口源

答えは、右から3つ目の、1つだけ違う色が塗られた板でした。
この板の裏側は、版画の「ト」のように見える部分ともピッタリ重なるんです。
物資の少ない時代に、板を両面使い工夫していたことが伺えます。

モン ミュゼ沼津 沼津市庄司美術館

それでは、第2問。
この版画のタイトルは、何でしょう?
1957(昭和32)年のユーゴスラヴィア・リュブリャナ国際版画ビエンナーレで、優秀賞を受賞した作品です。

山口源 芝生

答えは、「芝生」でした。
??
芸術の奥深さを感じます。

それでは、同じ版画から第3問の出題。
左の版画に使われている版木が、右の額の中に1つあります。
どれでしょうか?

山口源 芝生

分からなかった方は、ぜひ現地でご確認ください。

この展覧会では版木も一緒に展示されているので、私のように詳しくない方でも、制作過程を想像し、山口が描きたかったものに思いを巡らせながら観賞を楽しむことが出来ます。

山口源

石垣苺

山口の作品は、抽象ばかりではありません。
描いた物がハッキリと分かる具象の作品も展示されています。

初期の頃に描いた「石垣苺」は第17回国画展覧会で褒章を受けた作品ですが、苺の種や葉脈まで細かく描写され、後年の作品とは全く違ったタッチで制作されています。

山口源 石垣苺

山口は始め、具象の作品を制作していましたが、次第に抽象へと変化していきました。
その過程が分かる展示が2階にあり、親切な解説資料も用意されています。

山口源

山口は装丁家としても活動しており、その資料も展示されています。
井上靖の「風林火山」や「楊貴妃伝」などの装丁も手掛けたことがあるので、後から山口の作品を目にしていたのかと気付く方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?

山口源 装丁作品

山口の作品は、斬新と思える大胆なデザインが深く印象に残ります。
今でこそ抽象画を多く見かけるようになりましたが、当時はまだ具象画ばかりが世間に出回っていた時代です。
国内よりも海外で栄誉ある賞を次々と受賞し注目を集めた山口は、時代のかなり先を読んでいたのかもしれません。

山口源
 
 
 
  • 2019年3月6日
  • 掲載する内容は正確性を心がけておりますが、現地の事情や状況の変化により当てはまらない場合もございます。 お出掛け前に、現地にご確認くださいませ。

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