下土狩駅から徒歩約5分、住宅街に突如現れる「鮎壺の滝」。
1万年前の富士山噴火が生んだ壮大な景観に加え、周辺の公園整備でさらに魅力的に生まれ変わりました。鮎壺公園・鮎壺の滝

鮎壺あゆつぼ公園 
鮎壺あゆつぼの滝

2025.3.12 2019.1.30
鮎壺の滝

注目ポイント

子供も大人も楽しめるスポットが待望のリニューアルオープン!

2021年7月に改修工事を開始した鮎壺公園が、2025年3月9日に待ちに待ったリニューアルオープン!
JR御殿場線の下土狩駅から徒歩5分の場所にあるこの公園は、以前よりもずっと広くなり、子供から大人まで楽しめる新しいエリアが加わりました。
今回の改修で、新たに休憩施設鮎壺あゆつぼテラスや展望広場が設けられ、地元住民や子育て世代の憩いの場としても大注目。
広大な芝生広場や果樹園も整備され、自然と触れ合いながら楽しい時間を過ごせます。

ジオパーク認定の自然が織りなす美しい滝

鮎壺あゆつぼの滝は、静岡県沼津市と長泉町の境を流れる黄瀬川にかかる滝。
落差約10m、幅約90mの壮大な景観が特徴で、1996年には静岡県の天然記念物、2018年にはユネスコ世界ジオパークの伊豆半島ジオパーク北伊豆エリアのジオサイトに認定されています。

三島溶岩流の痕跡が多数

約1万年前の富士山噴火で流れ出た三島溶岩流は、黄瀬川の谷を埋めながら南下。
しかし、火山灰が堆積した愛鷹あしたかローム層に阻まれ、流れを楽寿園方面へ変えました。
その後、柔らかいローム層が川の浸食で削られ、上にあった硬い溶岩が取り残される形で、鮎壺あゆつぼの滝が誕生。
滝の上部には幾層にも重なる岩盤が広がり、滝壺では4層構造の溶岩流や、熱で変色したローム層、さらには溶岩樹型も見ることができます。
通常は確認しづらい溶岩流の断面や特徴がよく分かる貴重な場所として、自然遺産としても高く評価されています。

名作映画「七人の侍」の舞台

鮎壺あゆつぼの滝は、黒澤明監督の名作「七人の侍 (1954)」の撮影場所としても知られています。
映画の中で、利吉と勘兵衛ら6人の侍が滝壺の上に腰をおろし、握り飯を食べるシーンがあります。
その際、菊千代(演:三船敏郎)が川に潜り、得意気に魚を捕まえる場面が印象的です。
実は、その魚は演出上、菊千代がふんどしの中に隠していたそうですが、映画を見直しても、違和感なく自然に魚を取り出しています。
さすが、日本の名優ですね。

滝にまつわる悲しい伝説

そんな鮎壺あゆつぼの滝には、悲しい言い伝えがあります。

その昔、黄(木)瀬川の里の長者が子供に恵まれなかったため、里の観世音に夫婦で祈願しました。
すると、かわいい女の子が生まれ、鶴や亀のような長寿を願い「鶴亀」と名づけました。
ところが、長者夫婦は鶴亀を残して早くに亡くなってしまい、彼女は酒場で飯炊きや接待をして生活を営むようになりました。
美しく明るかった彼女は大変評判となり、彼女の噂を聞きつけた源頼朝の家臣達が鶴亀を召し出させようとしました。
かたくなに拒んだ鶴亀はなんとか逃れ、鮎壺あゆつぼの滝までやってきました。
すると神が現れ「今まで苦労してきたお前の事を思うと、この私も胸が痛む、この滝の水で、すべての苦しみを洗い流しなさい。」
と告げられ、鶴亀は鮎壺の滝に身を投げてしまったそうです。

この伝説には諸説あり、ひたすら父母の冥福を祈ったが18歳になると無常を感じて滝に身を投じたとも、黄瀬川宿の遊女であった鶴亀が曾我兄弟の仇討ちの場から逃れて滝に身を投じたとも云われています。

駐車場レポート

レポートは2025年3月訪問時の情報です。最新情報をご確認の上、お出掛けください。

駐車場(県道22号 三島富士線)

今回のリニューアルでは、県道22号(三島富士線)から出入りできる駐車場が新設され、アクセスがグッと便利になりました。
乗用車はゆずりあい駐車場2台分を含め、全部で46台分を確保。
大型バス専用スペースも完備され、利用し易くなっています。

鮎壺公園 駐車場

ゆずりあい駐車場は、ゆったりサイズ。
車いすでも乗降が楽々、安心して利用できます。

鮎壺公園 ゆずりあい駐車場
駐輪場

駐輪場は、下土狩駅側のちょっと小高い位置に設置されています。

鮎壺公園 駐輪場

駐車場のすぐそばには自販機も設置され、ちょっとした水分補給に便利です。

鮎壺公園 自販機
トイレ

駐車場と芝生広場の間に、トイレが設置されました。
多目的トイレも広々としており、どなたでも利用し易くなっています。

鮎壺公園 トイレ
駐車場(県道87号線)

従来からある県道87号線沿いの駐車場も、引き続き利用できます。
4台駐車できますが、満車の場合は県道22号側の駐車場をご利用ください。

鮎壺公園 駐車場

こちらの駐車場からは、緩やかな坂道を下って鮎壺あゆつぼの滝へ向かいます。

駐車場から鮎壺公園まで
本宿用水ほんじゅくようすい

途中には、「本宿用水ほんじゅくようすい」の案内板もあるので、お見逃しなく。
この灌漑用水路は1603(慶長8)年、当時の領主・天野康景あまのやすかげが黄瀬川の水を本宿耕地へ流すために造ったもの。
ここには、かつて全長280間(約509m)のトンネルの入口がありました。
しかし、1854年の安政の大地震でトンネルが崩壊。
その後、さらに長い383間(約696m)のトンネルに掘り直されたそうです。

駐車場から鮎壺公園まで

住宅街を抜け、駐車場から徒歩約3分で鮎壺あゆつぼ公園に到着します。

鮎壺公園 入口

公園レポート

「鮎壺公園」の看板案内図

鮎壺の滝 看板案内図
芝生広場

鮎壺あゆつぼ公園の中でも、ひときわ目を引くのが約2,700㎡の広大な敷地の芝生広場です。

鮎壺公園 芝生広場

駐車場から広場まで段差がないので、楽々移動できます。

鮎壺公園

子供から大人まで、大人気の広場。
この日も、サッカーやバドミントン、かけっこなど、思い思いに楽しんでいました。

ワンちゃんたちも駆け出したくなる広さですが、ペットは芝生に入れることができませんので、ご注意くださいね。

鮎壺公園 芝生広場
デッキ階段

芝生の脇に、幅30mの広々としたデッキ階段が設置されています。
ここに座って観戦したり、のんびり休憩するのもいいですね。

鮎壺公園 デッキ階段

東屋も設置され、暑い日には心地よい日陰で寛げそうです。

鮎壺公園 東屋
あゆつぼ こども果樹園

芝生広場のそばには、鮎壺あゆつぼ区内のボランティア団体が運営する果樹園があり、柿、ブドウ、みかんなど6種類の果樹が植えられいます。
これからは、親子で楽しめる収穫体験などのイベントも予定されているそうです。
どんな体験ができるのか、楽しみですね。

あゆつぼ こども果樹園
彫刻

公園には、長泉町在住の彫刻家・堤直美さんが手がけた4体の彫刻が設置されています。
堤さんは長泉町内にアトリエを構える具象彫刻家で、静岡駅北口の「徳川家康公像」「竹千代君像」をはじめ、町内でも数多くの作品を手がけています。

鮎壺公園 堤直美 彫刻
子ども広場

芝生広場に隣接する子ども広場は、高さ5.7mもの巨大な複合遊具を備えた町内最大級の遊び場。
のぼりあみ、つなわたり、土管型のすべり台など、冒険心をくすぐる遊具が勢揃いしており、子供たちに大人気!

鮎壺公園 子ども広場

屋根付きバーコラ&ベンチが設置されているので、子供を見守る保護者の方も快適に過ごせます。

鮎壺公園 屋根付きバーコラ&ベンチ

子ども広場の脇に、鮎壺あゆつぼのかけ橋へ向かう散策路の入口があります。

鮎壺公園 散策路
溶岩広場

少し進むと、地面がゴツゴツと盛り上がった溶岩広場が現れます。
散策路の途中でも溶岩の独特な質感を間近で感じながら、三島溶岩流のダイナミックな様子を観察できます。

鮎壺公園 溶岩広場

その先には小川が流れ、橋が新旧2本架かっています。
右が、従来からある橋。
左が、新設された橋。
どちらも鮎壺あゆつぼのかけ橋へ向かいます。

鮎壺公園 新旧2つの橋

右側の橋を渡ると、自然のままの雰囲気を残した散策路が続きます。
途中にはいくつか段差があるので、足元に注意が必要です。

鮎壺公園 古い橋

柵のすぐ脇を進むので、近くから川を眺めたい方にお勧めです。

鮎壺公園 従来の散策路

一方、左側の橋は、少し高い位置に散策路が設けられています。
路面に段差がないため、ベビーカーや車いすでも快適!

鮎壺公園 新しい橋

多少のアップダウンはありますが緩やかな坂道で、道幅が広く手すりもあるので、大分歩き易くなっています。

鮎壺公園 新しい散策路

途中、散策路が分岐します。
右へ進むと鮎壺あゆつぼのかけ橋へ。
左へ進むと展望広場に進みます。

鮎壺公園 分岐点
展望広場

今回のリニューアルで、展望広場も綺麗に整備されました。
バスケットコート程の広場には、トイレや東屋もしっかり設けられています。

鮎壺公園 展望広場

トイレも綺麗にリニューアル!
充分な広さの多目的トイレも完備され、車いすでも安心です。

鮎壺公園 展望広場トイレ

水飲み場も設置されています。

鮎壺公園 展望広場 水飲み場
展望デッキ

この広場で最も注目したいのが、新たに設置された展望デッキ。
ここに座って鮎壺あゆつぼの滝を眺めながら、のんびり黄瀬川のせせらぎを楽しむ事ができますよ。

鮎壺公園 展望デッキ

展望デッキから撮影した鮎壺あゆつぼの滝。

展望デッキから撮影した鮎壺の滝

また、この周囲には桜が植樹されており、春には滝と桜、そして富士山が織りなす絶景も楽しむことができます。
これからの季節が楽しみですね!

鮎壺公園 桜

さて、横道に逸れてしまいなしたが、散策路に戻ります。
新旧それぞれの散策路は平行に進み、途中いくつかの階段で行き来できるようになっています。

鮎壺公園 散策路の階段

散策路を川沿いに150mほど進むと、鮎壺あゆつぼのかけ橋に到着。

鮎壺公園 鮎壺のかけ橋

橋のたもとには、観光客数を調べるためのボードがあるので、ぜひ協力してくださいね。
私も1名分追加。

鮎壺公園 ボード
鮎壺のかけ橋

この橋は沼津市と長泉町が共同で建設し、平成10年に完成しました。
長さ48m、幅1.5m、水面からの高さは約8m。

鮎壺公園 鮎壺のかけ橋

頑丈な造りで1人なら安定していますが、2人以上で渡ると相手の歩調が伝わり、ユラユラ、ユラユラ・・・
思わずビクッとすることも?!

鮎壺公園 鮎壺のかけ橋

吊り橋からは滝の全体像が望め、天気が良ければマンションの後ろに富士山もご覧いただけます。
時代の流れとはいえ、マンションが建つ前の景色も見てみたかったものです。

鮎壺の滝

鮎壺あゆつぼ」という名前は、鮎がこの滝に阻まれ、遡上そじょうできずに群れをなしていたことに由来すると云われています。
しかし、現在は残念ながらこの付近で鮎の姿を見ることはできません。
代わりに、釣り橋付近で鯉が泳ぐ姿を眺めることができるかも?!

鮎壺の滝 鯉

この鮎壺あゆつぼのかけ橋は、沼津市と長泉町の境界を流れる黄瀬川に架かっています。
橋のほぼ中央、床が透けているあたりから沼津市に入ります。

鮎壺のかけ橋
鮎壺あゆつぼの滝公園

橋を渡ると、対岸には芝生の公園が広がっています。
ハンモックやテーブルも設置されており、ゆったりとピクニックを楽しめます。

鮎壺の滝公園

沼津側から鮎壺あゆつぼの滝を見渡すと、正面には愛鷹あしたかローム層を眺めることが出来ます。
約1万年前の富士山噴火時、火山灰が降り積もり、柔らかいローム層が形成されました。
その後、黄瀬川の流れで削られたことにより約9mの落差が生まれ、鮎壺あゆつぼの滝が誕生したと云われています。
下にいく程に岸壁が深く削られており、自然の力によって作り出された独特の造形美を感じさせます。

鮎壺の滝

滝とは反対側に目を向けると、水遊びを楽しむ人々の姿が見られます。

黄瀬川 鮎壺の滝付近

沼津側の川岸には石段が設けられているので、河原まで下りることができます。
暑い季節には、ここで涼をとるのも気持ちよさそうですね。

黄瀬川 河原に下りる石段

鮎壺テラス レポート

鮎壺あゆつぼテラスは駐車場より少し高い位置にありますが、スロープが整備されているため、ベビーカーや車椅子でもスムーズに移動できます。

鮎壺テラス 駐車場からのスロープ
入口広場

黄瀬川に面した建物前に、広々としたスペース。
ここにはキッチンカーも入ることができ、イベント時にはグルメが楽しめます。

鮎壺テラス 入口広場
駐輪場

広場の一角には駐輪場も完備。

鮎壺テラス 駐輪場
鮎壺テラス

黒を基調としたガラス張りの建物が、公園の新たな交流拠点・鮎壺あゆつぼテラスです。

営業時間 9:00~17:30
鮎壺テラス 外観

大きく張り出した軒の下には、ぐるりとベンチが設置され、川や広場を眺めながらのんびり過ごせます。

鮎壺テラス 軒下

テラス内にも、カラフルな椅子がたくさん並んでいます。
こちらは誰でも自由に使用できる多目的スペース。
食事や休憩、学習、遊びなど様々な用途に利用できます。

鮎壺テラス 多目的スペース

カウンター席にはコンセントも設置され、ちょっとした作業にも便利。

鮎壺テラス

奥には、10人掛けのテーブル席もあります。
こちらのスペースは通常は自由に使えますが、予約がある場合はその方が優先。
占有したいときには、町役場に申請書を事前提出してくださいね。

詳しい内容については、こちら
鮎壺テラス
キッズスペース

柔らかいクッション素材で囲まれたキッズスペース。
ちびっ子達が、靴を脱いでのびのび遊んでいます。

鮎壺テラス

こちらは日本出版販売株式会社とのコラボで設置された本棚。
地域と人々をつなぐ場として、4つのテーマで選ばれた本が並んでいます。
お気に入りの1冊を、探してみてはいかがでしょうか?

鮎壺テラス

館内に設置された自販機では、飲み物だけでなく町の特産品も購入できます。

鮎壺テラス
ベビーステーション

広々としたベビーステーションも備わっており、小さなお子様連れも安心して利用できます。

鮎壺テラス

2室ある授乳室も中は広々空間。

鮎壺テラス
多目的トイレ

多目的トイレもゆったりとした広さで、様々な症状の方が快適に利用できます。

鮎壺テラス

鮎壺あゆつぼテラスのすぐ脇には黄瀬川が流れ、鮎壺あゆつぼの滝の滝口を間近に眺められます。
約1万年前、富士山噴火時に愛鷹あしたか山と箱根山の谷間を埋め尽くした溶岩が、この地に迫力ある景観を生みました。
滝の上部はゴツゴツとした岩盤に覆われ、三島溶岩流の岩石も観察できます。

富士山頂上からここまでは直線距離で約30㎞。
噴火の影響の大きさを、改めて思い知らされます。

鮎壺の滝 滝口

下土狩駅から徒歩約5分、住宅街の中に突如として現れる鮎壺あゆつぼの滝。
1万年前の富士山噴火の痕跡を肌で感じられ、その雄大な景色は、訪れる人々を魅了します。
散歩がてら訪れる人も多く、春には桜の名所として賑わい、町民の憩いの場として親しまれています。
地質学的にも大変貴重な場所ですが、歴史や伝説、映画の舞台としての魅力も加わり、さまざまな表情を持つスポット。
観光だけでなく、散歩やピクニックにも最適な場所です。
リニューアルによってさらに魅力が増した鮎壺あゆつぼ公園へ、ぜひ足を運んでみてください。

鮎壺の滝 滝口

基本情報

住所 静岡県沼津市大岡、静岡県駿東郡長泉町下土狩
営業時間
鮎壺テラス 9:00~17:30
駐車場
県道22号三島富士線沿い 無料(普通車44台、ゆずりあい2台)
県道87号線沿い 無料(普通車4台)
アクセス

新東名 長泉沼津ICから約4km(約10分)

東名 沼津ICから約4.5km(約10分)

JR御殿場線 下土狩駅より徒歩約5分

  • 掲載する内容は正確性を心がけておりますが、現地の事情や状況の変化により変更する場合もございます。
    お出掛け前に、現地にご確認ください。

地図

関連情報

周辺観光施設
アクセス時間

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  • 所要時間は、道路状況等により変更になることがございます。おおよその目安としてご参考になさってください。
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