明治期に日本人が設計・製作した中で現存する数少ない国産トラス橋梁の一つ「森村橋」

森村橋もりむらばし

2024.5.8
森村橋

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  • 明治期に日本人が設計・製作した中で現存する数少ない国産トラス橋梁の一つ

明治期に日本人が設計・製作した中で現存する数少ない国産トラス橋梁の一つ「森村橋」は、1906年小山駅と富士紡績の工場を結ぶ物資輸送用トロッコの橋として造られました。
2005年、国の登録有形文化財に登録され、2016年に小山町が歴史的資産を活用した地域活性化を目指して森村橋を修復することを決定。
しかし、10年余り十分な管理が行われず腐食が進行していた為、復元に苦慮していました。
そこで、鋼材の成分分析と溶接施工試験を接合箇所全てに行うことで建設当時の部材を約60%再利用できる事を検証し、文化的価値を維持する修復を可能としました。
2020年、無事に往年の姿に復元した「森村橋」がお披露目され、2020年度土木学会賞において田中賞(作品賞)を受賞しています。

現地レポート

「森村橋」全景の様子。
現代の基準に合わせてデザインを多少変更していますが、建設時の印象を残し重厚感があります。

森村橋

「森村橋」の中央にはもともと輸送用の軌道が敷設され、トラスの外側に歩道が設けられていました。
トロッコの廃止に伴い1968(昭和43)年、軌道を取り除きトラック輸送用に鉄板を設置、その後、道路橋として舗装されています。
そして復元された今は、車の走らない歩行者専用橋として整備されています。

森村橋

橋のたもとには、表彰状が輝いています。
「森村橋」は、国登録有形文化財でありながら一度解体した後、補修・補強の上、再び元の位置に架設されています。
この独創的な工法により土木遺産の復原に努めたことが高く評価され、公益財団法人土木学会の田中賞を受賞しています。

森村橋

もう一方のたもとには、森村市左衛門もりむらいちざえもんの彫像があります。
森村グループ創始者である森村市左衛門は、一時期倒産の危機に直面していた富士紡績を立て直すため尽力した人物です。
「実業界における起死回生の名医」と謳われていた実業家・日比谷平左衛門ひびやへいざえもんを熱心に説得し、和田豊治わだとよじという有能な経営者を迎え入れ、経営を安定させました。

森村橋

ベンチが左岸に3脚、右岸に2脚設置されており、ゆったりと座りながら橋の全景を楽しむことができます。
ベンチを覆う屋根の支柱には、橋に再利用できなかった部材が加工され使われているそうです。

森村橋

「森村橋」と並行して鮎沢川に架かる「新森村橋」を渡ると、無料の駐車場が完備されています。

森村橋

「森村橋」は、建設当時の数少ない資料の解読から始まり、科学的分析、解体、工場内での組み換え、現地での再構築など気の遠くなるような作業を経て復元されています。
「森村橋」に訪れ、復元に携わった人々の努力を感じることで、地元の歴史を後世に残すことの重要性に気づくことができます。

私達の身近なところには、歴史を紐解くヒントが多く隠れています。
それらを探しながら散歩するのも楽しいものですね。

森村橋

基本情報

住所 静岡県駿東郡小山町小山133-6地先
駐車場 有り(無料)
アクセス

東名足柄SICから約7Km(約12分)

JR駿河小山駅から徒歩約20分

サイト ホームページ
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