注目ポイント
旅と酒を愛し、沼津に魅せられた歌人
若山牧水(本名:繁)は1885(明治18)年、宮崎県日向市に生まれました。
医師の家に育ち、宮崎県立延岡中学校を卒業後、早稲田大学英文学科へ進学。
在学中に短歌を本格的に学び、尾上柴舟門に入ります。
25歳のとき、歌集『別離』が評価され、一躍歌壇に名を馳せました。
各地を巡りながらその情景を短歌に詠んでいた牧水は、富士山や千本松原の美しい風景に魅了され、昭和9(1920)年、35歳で沼津への移住を決意します。
初めは香貫山西麓に住みましたが、大正14(1925)年、千本松原近くに新居を構えた牧水は沼津の風景を詠んだ名歌をいくつも残しています。
特に「沼津の名月に照らされし富士の山」や「千本松原の風に寄せる」といった歌は、彼の沼津での日々の情熱を感じさせます。
1927(昭和2)年、妻の喜志子さんと共に朝鮮揮毫旅行に出発し珍島や金剛山を巡るものの、体調を崩して帰国。
翌年の1928(昭和3)年9月、長年の大量飲酒による急性胃腸炎と肝硬変を併発、更に様々な症状が重なって体調を崩し、沼津市の自宅で43歳で死去しました。
墓所は千本松原にゆかりのある千本山乗運寺にあります。
旅と酒をこよなく愛していた牧水は、生涯に1,800首もの短歌と紀行文を残しています。
旅先では各地の風景を歌に詠みながらも、名酒を味わうことを楽しみのひとつとしており、1日に一升を飲むこともあったといわれています。
1885年 (明治18年) |
0歳 | 宮崎県に生まれる。 |
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1904年 (明治37年) |
19歳 | 早稲田大学文学科に入学。 同級の中林蘇水、北原射水年 (白秋)と共に「早稲田の三水」と呼ばれる。 |
1910年 (明治43年) |
25歳 | 歌集『別離』を出版。 |
1912年 (明治45年) |
27歳 | 太田喜志子と結婚。 |
1913年 (大正2年) |
28歳 | 長男・旅人(1913〜98)誕生。 |
1920年 (大正9年) |
35歳 | 千本松原の景観に魅了され沼津に移住。 歌集『渓谷集』を刊行。 |
1925年 (大正14年) |
40歳 | 千本浜近くに新居を建設。 |
1926年 (大正15年) |
41歳 | 千本松原伐採計画の反対意見を寄稿、計画は中止となる。 |
1927年 (昭和2年) |
42歳 | 朝鮮揮毫旅行に出発するが、体調を崩し帰国。 |
1928年 (昭和3年) |
43歳 | 逝去。 |
有志の熱意によって誕生した牧水記念館
沼津市若山牧水記念館は、牧水への敬愛が形になって誕生した記念館です。
牧水が亡くなった後、30有余年に渡り牧水顕彰活動を続けてきた沼津牧水会を中心に「牧水が愛した千本松原に記念館を」との声が高まり、「沼津牧水記念館建設発起人会」が設立されました。
彼らの協力を得て、昭和56(1981)年に募金活動が始まり、その熱い思いが実を結びます。
6年の歳月をかけて6千万円もの寄付が集まり、沼津市に牧水記念館を建設することが決定しました。
そして、牧水の没後60年となる昭和62(1987)年11月、ついに記念館がオープン。
以来、牧水を偲ぶ多くの人々が訪れ、その足跡をたどっています。
牧水の情熱によって守られた千本松原
記念館が建てられた千本松原は、牧水にとって特別な場所です。
風光明媚な千本松原に魅せられ牧水がその近くに住居を構えた後、静岡県が松原の一部を伐採する計画を打ち出しました。
この計画に強く反対した牧水は、「沼津千本松原」と題する文章を新聞に投稿、更に松の伐採に反対する市民大会で熱弁をふるい反対運動の先頭に立ちました。
その結果、静岡県は計画を断念することに。
牧水の反対運動は、自然保護運動の先駆けとして後に評価されています。
現地レポート
「若山牧水記念館」の案内図

千本浜海岸にほど近く、「文学の道」沿いにひっそりと佇む『若山牧水記念館』。 |
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駐車場は、9台分のスペースを確保。 |
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建物の入口前にあるベンチは、千本浜公園にあった樹齢約400年の老松「千本太郎」の材から作られたものです。 |
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館内へ足を踏み入れると、まず目に入るのは広々としたロビー。 |
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牧水が実際に使用していた木製の机が、ロビーに置かれています。 |
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資料室は広くはないものの、牧水にゆかりのある直筆原稿や日記、書簡、作歌ノートなど、貴重な資料が揃っています。 |
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反時計回りに進むと、宮崎での幼少期から沼津移住後の晩年まで、その歩みを辿ることができます。 |
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推敲を重ねた原稿からは、“自己即詩歌”を信念にした牧水の情熱が伝わってきます。 |
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「書斎の復元」コーナーでは、牧水が愛用していた硯や落款印が展示され、当時の雰囲気が再現されています。 |
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牧水が建てた木造二階建ての居宅を50分の1スケールで再現した復元模型も展示されています。 |
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こちらには、牧水の妻・喜志子さんの胸像も飾られています。 |
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見学後は、ロビーでひと息つくのもお勧めです。 |
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ロビーの一角には、牧水の作品や関連書籍が並ぶコーナーも。 |
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また受付では、 牧水の作品や名歌が書かれた色紙・短冊、絵葉書などを購入でき、ご自宅でも文学の余韻を楽しむことができます。 |
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若山牧水記念館は、彼の詩歌の世界だけでなく、人生や家族との繋がりを感じられる場所です。 |
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基本情報
住所 | 静岡県沼津市千本郷林1907-11 | ||||
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TEL | 055-962-0424 | ||||
お休み | 毎週月曜日 (祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/3) | ||||
営業時間 |
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料金 |
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駐車場 | 有り(無料) | ||||
アクセス |
東名沼津ICから約8.5Km(約25分) JR沼津駅(南口)から東海バス「N45」乗車「牧水記念館」下車(約10分) |
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サイト |
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