注目ポイント
ウイスキーの製造工程と魅力を味わいながら楽しく学ぶ蒸留所見学
富士御殿場蒸留所は、富士山のふもと、標高600mに位置するウイスキー製造拠点です。
ここは、スコットランド式のモルトウイスキーとアメリカ式のグレーンウイスキーを、仕込みからボトリングまで一貫して製造している世界的にも非常に珍しい蒸留所です。
この蒸留所では見学ツアーが行われており、製造工程に沿った見学をしながら、ウイスキーの魅力を存分に味わうことができます。
6基のポットスチル(蒸留器)や木桶発酵槽など、実際に稼働している製造設備を間近で見られるのも大きな魅力です。
ツアー後には、ウイスキーの試飲や洋酒・ノベルティのショッピングが楽しめるのも嬉しいポイント。
さらに、敷地内には遊歩道が整備されており、豊かな自然を満喫しながら散策することもできます。
項目 | モルトウイスキー | グレーンウイスキー |
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技術 | スコットランド式 | アメリカ式 |
原料 | 発芽した大麦を乾燥させた麦芽のみを原料とする。 | 麦芽以外の穀類を主原料とする。 |
富士御殿場 蒸溜所 |
おもにイギリス産のノンピート麦芽を使用。 | コーン、ライ麦などの原料を使用。 |
ウィスキー挑戦の舞台として選ばれた御殿場
1960年代後半、ビール市場が伸び悩む中、麒麟麦酒は新たな事業分野への進出を模索していました。
当時、消費者の間で洋酒市場が成長しており、そのブームに着目した麒麟麦酒は、1969年の洋酒輸入自由化を契機に、シーグラム社と提携してウイスキー製造へと乗り出しました。
1971年、数ある候補地の中から御殿場市をウイスキー製造に最適な場所として選定。
その理由は、豊かな自然環境にありました。
御殿場市は、豊富な水量と良質な水質が確保でき、霧が多く気候がスコットランドのハイランド地方に似ていたからです。
さらに、東名高速道路や国道246号線に近く、原料や製品の輸送が便利だったことも大きな要因です。
こうした恵まれた環境のもと、1973年に蒸留所が完成し、キリン・シーグラム社として国産ウイスキーの製造が始まったのです。
2002年7月には、ペルノ・リカール(旧・シーグラム)との合弁を解消し、麒麟麦酒100%出資の会社として現在に至っています。
1969年3月 | 洋酒の50%資本自由化、輸入自由化。 シーグラム・オーバーシーズ・セールス・カンパニー(以下、シーグラム)から提携の打診を受ける。 |
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1971年1月 | 合弁会社を設立して蒸留酒製品およびワインの製造・販売を行う覚書をシーグラムと締結。 |
1971年9月 | シーグラム製品の国内販売開始。 |
1972年8月 | キリン・シーグラム株式会社設立。 |
1973年8月 | 約56億円の建設費を投じて御殿場工場が完成、製造開始。 |
2002年7月 | ペルノ・リカール(旧・シーグラム)との合弁を解消、麒麟麦酒100%出資会社に。 社名をキリンディスティラリー株式会社に変更。 |
現地レポート
「キリンディスティラリー 富士御殿場蒸溜所」の看板案内図

御殿場市北西部にある「キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所」。 |
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工場の敷地に入るとまず目を引くのが、大きなポットスチル。 |
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御殿場駅から約20分で、蒸留所に到着。 |
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受付到着後、まずは受付で名前と住所を記入し、運転の有無が一目でわかるタグを受け取ります。 |
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支払い受付後は、券売機でお支払い。 |
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見学開始時間までは、待合室の展示物などを眺めて過ごします。 待合室にはコンペで受賞した数々のウイスキーが展示されており、その歴史や実績を知ることで、ますます期待が高まります。 |
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シアター時間となり、いよいよ見学スタート! シアタールーム内は撮影禁止のため、写真は待合室のものです。 |
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映像を楽しんだ後は、蒸溜所内を歩きながらウイスキーの製造工程を見学します。 最初に訪れるのは、ウイスキーの種類やその原料について解説するエリア。 |
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この富士御殿場蒸溜所は、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの2種類の原酒が、ひとつの蒸溜所で製造されている世界でも本当に珍しい蒸留所。 実際に設備や原料を間近に見ながら説明を聞いてみると、この蒸溜所ならではの技術によって個性豊かなウイスキーが生まれる理由がよく分かります。 |
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発酵次はウイスキーの香りや味わいを決める重要な工程・発酵を担うエリアを見学。 |
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富士御殿場蒸溜所ではステンレス製の発酵タンクに加え、2021年に木桶発酵槽を新たに導入。 |
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蒸留次のコーナーでは、実際に蒸留に使われているポットスチルを間近で見ることができます。 |
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富士御殿場蒸溜所では、初留用と再留用の2基を1セットとして、なんと合計3セット6基の蒸留機が稼働中! 他にも、かつてグレーンウイスキー原酒の製造に使われていた貴重なマルチカラム(多塔連続式蒸留機)も展示されているので、お見逃しなく。 |
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樽詰め次は樽詰めの製造ラインを見学。 |
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樽詰めしたウィスキーは、熟成庫の中で長い眠りにつきます。 |
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熟成ウイスキーが樽で熟成する間、液体は徐々に琥珀色へと変化し、同時に少しずつ蒸発していきます。 |
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瓶詰め最後に見学するのは、瓶詰めの製造ライン。 |
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試飲見学の締めくくりは、お待ちかねのウイスキー試飲タイム! 「キリン シングルグレーンウイスキー富士」と「キリン ウイスキー陸」を味わうことができます。 見学後の1杯は、作り手の情熱を感じる格別な美味しさでした。 |
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ドライバーやお酒が苦手な方には、ソフトドリンクやノンアルコールチューハイも用意されているので、ご安心ください。 |
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有料試飲さらにもっと試飲を楽しみたい方の為に、有料試飲も用意されています。 |
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売店隣接するお土産コーナーには、限定ウイスキーやオリジナルグッズが数多く並んでいます。 |
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キリンの森売店脇のドアから外に出ると、階段下には自然豊かな「キリンの森」が広がります。 |
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富士御殿場蒸溜所では、ウイスキー作りに対するこだわりや技術を感じながら、五感でその奥深い世界を味わうことができます。 |
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基本情報
住所 | 静岡県御殿場市柴怒田970番地 | ||||
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TEL | 0550-89-4909 | ||||
お休み | 毎週月曜日 (祝日の場合は営業、次の平日が休館)、設備点検日、年末年始 | ||||
スタート時間 |
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所要時間 | 約80分(工場見学60分、テイスティング20分) | ||||
料金 |
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駐車場 | 有り(無料) | ||||
アクセス |
東名御殿場ICから約8.5Km(約15分) JR御殿場駅 箱根乙女口 一般バス乗降場④からシャトルバス乗車(約20分) |
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サイト | |||||
参考資料 | キリンビールの歴史. 新戦後編 (出版者:キリンビール) |
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